Fernweh

homeward bound

そもそもどうして満充電にしないで使いたいのか

といわれた。

リチウムイオンバッテリは以下の条件が揃ったとき、急激に劣化する。

  • 満充電
  • 高温(大体45℃以上)

また

  • 深放電(過放電)
  • 放置

 他にもセルバランスとかあるけども、基本的にはこういったことを起こさず適度に使っていれば、メーカーが謳うように 500 サイクルの寿命を全うできると考えてよい。

 一番まずいのが満充電で高温になること。劣化が非常に早くなるし、運が悪いと即死することもある。ただし、充電量が少ない状態ならば結構熱くなっても割と大丈夫だったりする。だから、満充電のラップトップマシンが高負荷などによって高温になったら、ACアダプタを外してバッテリ駆動に切り替えて放電させるのが理想。でも、面倒だから普通はそんなことしない。


 Let's Note などの ECO モードは「満充電すると寿命が短くなるから80%で充電をやめておく」というが、むしろ「満充電のときに高温になると そこで死を迎えやすいが、満充電でなければ高温になったとしても死ににくい」というニュアンスのほうが近く、またそれがバッテリ本来の寿命だろう。




 リチウムイオンバッテリに興味がないのであれば、寿命を迎えたら交換する使い方が最も賢い。もしもバッテリ自体に興味があれば、(満充電 && 高温) の AND 条件を満たさぬようにすると、寿命を延ばすことができるだろう。さらに興味があれば、BAYSUN のリチウムイオン電池の話 も面白い。


 スマートフォンの充電制御も温度が考慮されている。

 「充電器につないだまま使っていても充電が追いつかなくて、バッテリが減っていってしまう」といった事例では、充電が追いつかないのではなく冷却不足の場合があるように見受けられる。スマートフォンのような機器は、内部温度が上がるとバッテリ保護のために充電を止める、または充電電流を下げる制御を行うことがある。すると、高負荷なアプリを動かすと充電が追いついてないように見える。

 また、外部電源が接続されていて、既に 100% 充電されている状態から高負荷などにより内部が高温になった場合、外部電源は(供給されていても)使用せず、バッテリを満充電状態にしないためにバッテリから使うような制御を行うことがある。これもまた、充電が追いつかないように見えるだろう。

 他にも、たとえばバッテリ内蔵の PND(カーナビ)は高温にさらされやすいため、さらに積極的な放電を行う製品もある。電源がONでないスリープ状態でも、高温になると自動的に内蔵バッテリの放電処理を行う。

 これらの自動的に行われる放電もサイクルにカウントされると考えてよい。ワンサイクルは充放電の浅深にあまり関係がないと考えられており、知らぬ間にバッテリの充電サイクル寿命が削られていっているだろう。